ときめきメモリアル
BEAST-DEVIL-STORY
HABATAKI.MARIA.SIDE

序 曲

 ―人間への信頼は、希望を支える
 ―シュバイツァー
 03/24/2008 PM 23:32 アメリカ・ニューヨーク/バー「Lightning Flag」
〈日本時間 03/24/2008 AM 10:32〉

 カラン…カラン…

 赤い革のジャケットを羽織り、黒いジーンズを穿き、短く切った銀髪の女がドアのベルを鳴らし入ってきた。
 が、その女は子供と形容するには成長しすぎて、大人と形容するにはまだ足りない。
 一番丁度いい表現をするなら「少女」というべきか。
 しかしこの「少女」は、世界で伝説として語り継がれている獣魔の一人…「闇魔・天鼠族」の生産完了体〈ロットアッパー〉、黒信真璃亜なのである。
 そしてそのドアのベルが鳴ったのとほぼ同時に、バーのマスターは入って来た女に背中を向けながら、グラスを拭きつつ問いかけた。
 店内には真璃亜の他に客はおらず、マスターと真璃亜だけしかいなかった。
「…ご注文は?
 そして、女はそのマスターの問いに、カウンター席に座りながら答える。
「…ジョニー、アレ頼むぜ」
「あいよ」
 すると、ジョニーと呼ばれたマスターはグラスを拭く手を止め、真璃亜の方へと振り向いた。
 この男、ジョニーは真璃亜が傭兵として世界を転々としていた頃の戦友であったが、今では第一線を退き、表向きはバーのマスターに収まっている。
 しかし裏では悪魔絡みの情報〈ネタ〉を真璃亜に流している、真璃亜にとっては大事な情報屋だ。
 真璃亜の過去については今度語るとして、今は話を戻そう。
「コレが今回の依頼〈オーダー〉だ」
 ジョニーは真璃亜に一通の封筒を渡した。
 真璃亜はジョニーから渡された封筒の中身に目を通し、一度カウンターへ置いた。
「コイツら、全部殺〈ト〉っちまっていいのか?
「親分〈ボス〉は生け捕りにしろとの事だそうだ」
 するとジョニーは真璃亜にオリーブを抜いたドライ・マティーニを1杯出した。
「その親分〈ボス〉についての情報〈ネタ〉は?
「会えば分かるぜ、ザコとは決定的に違う」
「そいつぁイケそうだ」
 そう言うと真璃亜は出されたドライ・マティーニを一気に煽った後、ジャケットからタバコを取り出し、火をつけた。
「んじゃアタシはそろそろ行くぜ、まだ準備〈セッティング〉が残ってる」
「おう、気をつけろよ」
「お前こそな」
 そして真璃亜は席から立ち上がった。
「獣に笑いを」
「悪魔に慈悲を」
 そう言うと真璃亜は書類を持ち、バーを後にした。

 03/24/2008 PM 23:48 アメリカ・ニューヨーク/ホテル「SATELLITE FLOW」207号室
〈日本時間 03/24/2008 AM 10:48〉

「今帰ったぜ」
 真璃亜はバーを出てそのままホテルの自室へと戻った。
「おかえり、真璃亜!
 玄関のドアを開けると、中からふんわりとしたブロンドの髪の少女が出迎えに来た。
 真璃亜を迎えたこの声の主は、過去に真璃亜が悪魔から助け出した真璃亜の妹、パティである。
 パティはその時に両親を悪魔に殺〈ト〉られている為、そのまま真璃亜が妹として引き取ったのだ。
 真璃亜はジャケットを脱ぎ、パティへ投げた。
「パティ、かけとけ」
「うん、今日はどうしたの?
 真璃亜の脱いだジャケットを受け取りながら、パティは真璃亜へと聞いた。
「いや、ジョニーに情報〈ネタ〉貰いに行っただけだ」
 パティはジャケットを壁に掛けながら話した。
「真璃亜も余りムチャしないでよ?只でさえ危ないんだから」
「死にやしねェよ、大丈夫だ…」
 真璃亜はタバコを吹かしながら返事をした。
「でも次は消えるかもわからねェなァ…」
 自嘲ぎみに真璃亜は呟いた、その時だった。

 ♪〜♪〜

「Ah? 何だ?
 ズボンのポケットに入れておいた携帯が鳴り出したのだ。
 真璃亜はそれを取り出し、通話ボタンを押す。
「おう、アタシだ」
「もすもすひねもす〜? 俺様は皆のヒーr」
 ブツッ
 真璃亜は無言で電源ボタンを押し、テーブルに携帯を投げた。
 携帯から再び音が鳴ったのは、その直後だった。

 ♪〜♪〜

「ダリィな…」
 真璃亜は怠そうに携帯を取った。
「Ah?
「アナタ、急に切るの良くないアルよ」
「テメェがナメた事ヌかしてっからだろうが、クソ鮫」
 真璃亜の携帯にかけたこの男は、現在一足早く日本で悪魔退治に勤しんでいる鮫崎鏡夜だった。
「んで、ンな遅くにアタシに連絡よこすって事は上等な情報〈ネタ〉なんだろうな?
「そっちは夜中なんだっけな、まぁいいや、とりあえずニュースが二つあるぜ」
「良いNewsから教えろ」
「残念だったな、両方ともクソみてぇな悪いニュースだ」
「マジかよ…」
 真璃亜は溜息をついた。
「とりあえず一つ目の情報〈ネタ〉だ、五つの都市〈エリア〉全体の封印が弱まってる」
「Ah? 1発目からスゲェのをかましてきやがったな」
 真璃亜は驚いていた。
 それもそのはずだ、封印全体が弱まっているという事は下手をすれば上級レベルの悪魔が地上界にいつ出てきてもおかしくないからだ。
「んじゃ二つ目の情報〈ネタ〉だ、その封印が弱まってるおかげで中級悪魔〈レベル2〉やそこそこの『ホラー』まで地上界〈コッチ〉に出てきやがった」
「…おいおい、中級悪魔〈レベル2〉どころか『ホラー』もかよ…泣きたくなるなァ…」
「まだそんなモンで済んでるから楽なもんだけどな」
 鏡夜は真璃亜を嗜めた。
「それもそうだな…」
 真璃亜は渋々ながら納得した様だ。
「ま、俺からの連絡はそんだけ、他の奴らにももう既に連絡済みだ、『番犬所』や『ZECT』も動いてる。お前もダンテには連絡したんだろ?
「あぁ、一応な」
「オッケー、また何かあったら連絡するわ」
 真璃亜は吸っていたタバコを灰皿に捨てた。
「そん時は今日みてぇな夜中に連絡入れんじゃねぇぞ」
「無茶言うな、んじゃな」
 プツッ
 そして通話は切られ、真璃亜は再び携帯をテーブルへ投げた。
「あぁ〜…クソダリィな…中級悪魔〈レベル2〉まで出てきてんのか…」
 真璃亜はポケットからZippoを取り出し、掌の中で遊ぶ。
「けどま、暇潰し程度にはなるか…おいパティ、後もう少しでココ出るぜ」
 既にジャケットを壁に掛け、ベッドに座って本を読んでいたパティが真璃亜に問いかける。
「え、何処に引っ越すの?
 すると真璃亜は、テーブルの上にZippoと封筒を投げ出し、ベッドに横たわる。
 その時、衝撃で中身が封筒から飛び出してしまった。
 その封筒の中身は、一枚の書類と一冊のパンフレットだった。
 書類の方には英語でこう書いてあった。
[Order:Devil's HQ Destroy]
[Area:Japan Habataki City]
[Client:The United Nations]
[Time Limit:3Years]
 もう片方のパンフレットの表紙には、「私立羽ヶ崎学園 入学案内」と書いてあった…。
 そして真璃亜はパティの問いに答えた。
「Ah?アタシが昔居た街でな、日本のはばたき市ってトコだ」
 真璃亜はそう答えると、そのままベッドで寝てしまった。
「もう…あまりムチャしないでよ、真璃亜…」
 そう呟くと、パティもベッドに寝てしまうのだった。

 To Be Continue…

次 回 予 告

 御主人様〈マスター〉

 ヤバイです

 激ヤバです

 はばたきでの新生活〈ニューライフ〉が始まります

 ですが 緊張〈ビビ〉ッている暇はありません

 学校生活〈スクールライフ〉の始まりです

 我は王我の名の下に…

 次回
 B.D.S.
 HABATAKI.MARIA.SIDE
 第壱話〈ダイイチワ〉
「足りない数ばかり数えて」

 悲しき戦いに、獣は吼える…

あ と が き

皆さん、お久しぶりでございます、REIGAです。
さて、漸く投稿出来ました!
B.D.S.[HABATAKI SIDE]のプロローグでございます。
遅くなってしまってホントにごめんなさい…
今回ははばたき市に戻ってくる以前の話です。
が、GS2を未プレイな方には分かり辛いかもしれません。
自分の小説では某サイトの小説と同じ様にときメモシリーズ全作をクロスさせようと考えておりますので…。
ってか恐らくガールズサイドの二次創作小説で「主人公が酒とタバコをやってる」のは世界中を探しても自分の所しかないんじゃないか…?
なお、GSシリーズは男向けときメモと異なり、すべて同じ「はばたき市」という街が舞台となっております。
GS1編のプロローグも楽しみにして頂けると幸いでございます。
それでは。

☆管理人の独り言☆

こういう女の子キャラって男勝り口調が基本だけれど、
そこを敢えて外しておっとり清純派女子(口調のみ)とかにしたい。
そう思うのは、きっと僕の趣向がずれているからなのでしょうね。

まぁ、それはともかく。GSって事は、基本こっちの相手役は男性になるわけですよね。
主人公女の子ですし。女性キャラはやっぱり友人役かな? 或いは来るか、百合ルート。
兎にも角にも、色々と気になる所です。